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【歌詞解釈】BUMP OF CHICKEN『セントエルモの火』:「僕」の先を行く「君」について来た、そしてこれからもついていく物語を歌った曲

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楽曲情報

星空が綺麗な夜をイメージとさせる、イントロのギターの煌びやかなアルペジオが印象的な楽曲。6枚目のアルバム「COSMONAUT」の10番目に収録されています。

 

 公言はされておりませんが、ドラムの升さんへ向けた曲なのではないかとされています。ラジオにて藤原さんと升さんの富士登山エピソードが発言されていますが、それに加えてCOSMONAUTのアルバム歌詞カードには、「セントエルモの火」の歌詞の隣に富士山の写真があります。登山を思わせる内容の歌詞とこういったエピソードの関連性から考えると、升さんへの曲であることの信憑性が高まります。

 

さらに、雑誌にて升さんが「セントエルモの火」について、「これはバンプ・オブ・チキンのドラマーとして、僕にとっては凄く大きな曲ですね。」と発言されていますが、具体的な内容は語られていないにせよ、升さんへ向けた曲であることの確信が深まりましたね。

 

ちなみに、富士山エピソードについてですが、升さんが先に登っているところを藤原さんが後をついていき山頂で対面したそうです(升さんは内側では驚いていたが、藤原さんからみると驚いていないように感じたそう)。

 

「セントエルモの火」の歌詞解釈

ではさっそく、歌詞解釈をしていきましょう。

 

坂道の途中で起こる出来事と、「君のおかげなんだよ」と伝えたいこと

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歌詞には、登山を思わせるものが何度も出てきます。 一見、坂道を登っている時の情景描写が表されている歌詞にも見えますが、それ以外にも別の意味が隠されているようにも思えます。

 

夜が終わる前に追い付けるかな 同じ坂道の上の違う位置で

同じ場所に向けて 歩いてるんだ 今どんな顔してる

 

 冒頭ででてくるこの歌詞。シンプルに、君を追いかけて同じ場所に向けて同じ坂道を登る僕の状況が描かれています。

 

how far are you?星が綺麗な事に気付いてるかな

僕が気付けたのは 君のおかげなんだよ ずっと上を見てたから

 

 「how far are you?」と、自分と君との物理的な距離を伺っています。そんな先を行く「君」を追いかけながら歩っていると、頭上にある綺麗な星達に出会います。これは、人生(坂道)の中でいつも先を歩んでいる「君」を目印として生きていく中で出会ってきた素敵な景色や、経験してきた素晴らしい出来事を隠喩しているように思います。そこで「僕」は綺麗な星たちを見ることができたのは「君のおかげなんだよ」と伝えています。

 

これほど短い文の中でこれほど濃密な意味が含んであるこの歌詞には温かさを感じずにはいれません。とても素敵で、大好きな歌詞です。

 

how far are you? 震える小さな花を 見付けたかな

闇が怖くないのは 君のおかげなんだよ 君も歩いた道だから

 

 坂道を登っているのは、歌詞からも想像できるように真夜中のようです。真夜中の坂道でしょうから、暗闇が立ち込めて怖いでしょう。しかし僕は、君も歩いた道だからと「闇が怖くない」と言っています。

 「震える小さな花」が何を意味するのか、これもまた何かのメタファーなのかはわかりませんが、今の所深読みする部分ではないのかなと思っています。しかし、僕の中ではっきりしているのは「闇が怖くない〜君のおかげなんだよ」の部分。

「君も歩いた道だから安心して進んでいける」と、「君」に対する安心感を歌っています。ネガティブな出来事をいつも「君」が解決へ導いてくれる経験が幾つもあったかのような、そんな物語が垣間見える歌詞です。

 

 

ちょっとしんどいけど楽しい「お互い様な」関係 と、ずっとついて来た「僕」

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 歌詞中に繰り返し出てくる「お互い様」「ちょっとしんどいけど楽しいよ」という歌詞。

 

「君」は「僕」よりも先を行く存在だということは歌詞中から読み取れます。しかし、「先を行く存在」というのは「君はすべてにおいて長けている」ということではありません。そして、そんな「君」に必死に追い付いてさらに追い越そうとしてるわけでもなさそうです。

 

言葉を知ってるのはお互い様な 言葉が足りないのもお互い様な

勝手について来たんだ 構わず行けよ ほら全部がお互い様な

 

解り合おうとしたら迷子になる 近くても遠くてややこしくて面倒な僕らだ

だからついて来たんだ 解り易いだろう ちょっとしんどいけど楽しいよ

 

 人間誰しも長けている所、不足している所があると思いますが、それをあえて歌詞中で歌っています。また、解り合おうとしても迷子になってしまう、そんな「僕」と「君」との関係を「ややこしくて面倒な僕らだ」と歌っています。

 

先を行く存在ですと、無意識にでもなんだか上下関係ができてしまいそうですが、「僕」はそうではありません。歌詞中の「勝手について来たんだ」「だからついて来たんだ」からわかるように、「君」を手の届かない上の存在だと言っているわけでもなく、そして無理に解り合おうとしているわけでもなく、ただただ「君について来たんだ」ということを強調しているようにも見えます。

 

実際、「僕」は「君」について来たという事実を知って欲しくて、この曲を通して伝えています。

 

言いたい事は無いよ 聞きたい事も無いよ

ただ 届けたい事なら ちょっとあるんだ

ついて来たっていう 馬鹿げた事実に

価値など無いけど それだけ知って欲しくてさ

 

 先を行く「君」だけどお互い様であり、ずっと「君」について来た人生の中でちょっとしんどさも感じながらも楽しんでいるようです。何度も歌詞中に出てくる「ちょっとしんどいけど楽しいよ」。ついて来た事実と共に楽しんでいることも伝えたいようです。「楽しい」とストレートに言うのではなく、しんどさがあることも一緒に伝えることで「本当に楽しいんだ」ということが一層深みを増して伝わったのではないでしょうか?優しさが感じられる歌詞だと思います。

 

 

これからも「君」についていく「僕」

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坂道を登る「君」について来たことで、「僕」は君のおかげで素敵な経験ができたり、助けられたりしています。歌詞の表面上だけを見るとこれは登山中の出来事が綴られており、あくまでも登頂が最終目的の歌詞なのではないかと考えさせられます。確かに「靴紐」「水筒」「急に険しくなった」など、登山を思わせるワードが度々出てきます。

しかし、歌詞の終盤に登頂を全否定するような歌詞が登場します。

 

同じ場所に向けて 歩いてたんじゃない 僕は君に向かってるんだ

 

 ここまでの歌詞の中で起きた素敵な出来事や助けられた出来事は全て、「君」について来たことで経験できたことです。それは「君のおかげなんだよ」という歌詞が証明してくれています。「僕」ひとりで歩んだ人生であれば経験できなかったことかもしれないのです。

 

前述したように、「君」を目印にして歩んでいけば素敵な経験もできるし、そうではないネガティブな出来事にも立ち向かっていけると、この歌詞が伝えてくれています。

 

その後、これまで塞いでた穴から水が淀みなく流れるように、「僕」の「君」に対する思いが溢れ出します。それに合わせてギター・ベース・ドラムのバンドアンサンブルと藤原さんの歌声にも疾走感が増していきます。 

 

how far are you? 一緒に生きてる事は 当たり前じゃない

別々の呼吸を 懸命に読み合って ここまで来たんだよ

 

how far are you? 僕が放った唄に 気付いてないなら

いつまでだって歌おう 君のおかげなんだよ いつも探してくれるから

必ず見付けてくれるから

 

 今まで歩んできた「素敵な経験をさせてくれて助けられたりもした、ちょっとしんどいけど楽しい」人生は当たり前じゃないと言っています。これも「僕」ひとりだけの選択で歩んできたものではなく、「いつも探してくれて、必ず見付けてくれる」君のおかげなんだよと歌っています。これは、そもそも今のBUMP OF CHICKENに引き込んだ「君(升さん)」の行動から始まっているのでしょう。他の増川さん直井さんも例外ではありませんが、全てのはじまりを作った升さんの影響は大きいのではないでしょうか?

 

まとめ

 僕はこの曲が一番好きです。

音楽的な側面から見ると、イントロでやられましたね。イントロだけ聴いても星空が浮かびます。最初から最後まで頭の中には星がキラキラと煌めいています。そして歌詞の内容に沿ったような演奏の起伏が激しいところも好きです。

 

歌詞の内容から見ると、歌詞中主人公の「君」に対する一方的な思いを綴っています。対話ではありません。あくまでも「僕」から見た「君」に対しての思いです。「君」は常に背中だけを向けており、それが、この曲での「伝えたい」ということの強みを増しているような気がします。根拠はありませんが。この曲で伝えたいことが伝わっているのか心配ですが、「僕が放った唄に 気付いてないなら いつまでだって歌おう」という歌詞で安心感を覚えました。

 

「僕」の先を行く「君」について来た、そしてこれからもついていく物語を歌った曲。大好きですね。

 

 

COSMONAUT

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