【歌詞解釈】BUMP OF CHICKEN『ray』 : 「透明な彗星」=諦める決意をして前向きに進んでいこうと決めたシンボル
『ray』といえば、「ミュージックステーション」でも演奏され、さらには「SONGS」や「紅白歌合戦」でも演奏されました。BFLYのライブレポでも言ってますが、最近のBUMP OF CHICKENを代表する曲です。
とてもポップな曲調でライブでもノリやすい曲ですし、リリースされて3年以上経つ今でも新鮮さや瑞々しさが感じられる曲だからだと思います。
BUMP OF CHICKEN feat. HATSUNE MIKU「ray」
初音ミクとのコラボもし、そう言った意味で注目を浴びた曲でもあります。
そんな『ray』ですが、「お別れ」を歌った悲しい側面もある曲なんです。
「誰」とお別れしたのか?「君」「悲しい光」「透明な彗星」とは?
「僕」がお別れしたのは、「君」と。そして「悲しい光」「透明な彗星」も「お別れした君」が根源で作られたモノだと思います。
「君」とお別れしてできた「悲しい光」
「悲しい光は封じ込めて」とあるように、その光はネガティブなものと捉えることができます。そして、「お別れ」をして踵をすり減らしていることから、「悲しい光」ができた要因は僕が"誰かとお別れ"したからです。
"悲しい光が僕の影を 前に長く伸ばしている"
封じ込めたはずの光が僕を照らして影を作り出しています。そもそもこの曲の『ray』の意味は「光線」です。また、この曲名にはボツ案があり「記憶の"光芒"」という名前でした。BUMP先生3年ぶりの授業!『 RAY 』春の集中講座より
光線
"太陽光線、レーザー光線などと、光の束を指していうこともある。"
光線 - Wikipediaより引用
光芒
"一般的な用法では、細長く伸びる一筋の光を意味する。"
光芒 - Wikipediaより引用
曲名から、この歌詞に出てくる「悲しい光」は、何かを光源として僕の後ろまでずっと伸びている一直線の光とイメージすることができます。
"大丈夫だ この光の始まりには 君がいる"
そして「悲しい光」の光源は「君」。
まとめると、「悲しい光ができた原因は「君」とお別れしたから」です。
忘れても消えない「痛み」の大事さ
前向きになれるキッカケ
"大丈夫だ あの痛みは 忘れたって消えやしない"
「痛み」というとネガティブなものと考えますよね? しかしこの曲では「痛み」を肯定的に捉えられています。いわば「ポジティブシンキング」もしくは「プラス思考」ですね。
まずポジティブシンキングやプラス思考は「何らかの行動をして出た結果に対しての肯定的な考え方」になります。
なにか出来事が起きなければそういった考え方も生まれません。この曲で言うと、「お別れしたことで得た痛み」になりますね。お別れして痛みを得たことで、「僕」の中で何かの決意ができたのかもしれません。決意するということは少なくとも「僕」は「前に進んでいけてる」のではないでしょうか?
今、「僕」がポジティブになれてる、前に進んでいけてるキッカケが「君とお別れしたこと」だったのです。
忘れないからこそ前向きに生きていける
"いつまでどこまでなんて 正常か異常かなんて"
"考える暇も無い程 歩くのは大変だ"
"楽しい方がずっといいよ ごまかして笑っていくよ"
痛みを一時的に忘れても「君とお別れして得た痛み」は自分の中に残っているので、嫌な記憶・痛みを思い出して前向きになれるのではないでしょうか?
"忘れないから 笑っていける 涙越えても ずっと君といる"
『宝石になった日』 と同じようなことを言ってる気がします。
"夢だと解るその中で 君と会ってからまた行こう"
ここでも、自ら君と会うことで前に進む決意ができています。「よし。いくぞ」といっているようなイメージ。
「お別れした君」と 「透明な彗星」の正体
「お別れした君」=「自分」?
"理想で作った道を 現実が塗り替えていくよ"
誰もが理想像を作りますが、理想通りにはいかないことも少なからずあります。 「僕」も「君とお別れをする」という同じような経験をした過去を持っています。ここで思い出してもらいたいことが一つあります。それは、「お別れした場所(悲しい光の始まり)には君がいる」ということ。
理想通りではない現実が「僕」の理想を塗り替えてるわけですが、その同じ道には「悲しい光」も平行して伸びています。ここで僕は、「お別れした君」と「僕」は同一人物なのではないかと考えました。
理想通りにはいかないことに気づいた「僕」は、「理想像を描く僕」とお別れ(諦める)し、一旦「現実的な道」を歩もうと決意します。こう考えると、「僕=お別れした君(諦めた自分)」が成り立ちますし、イメージとしても自然なんじゃないかと思います。
「透明な彗星」=「お別れした自分のシンボル」?
"君といた時は見えた 今は見えなくなった"
「お別れをした君」といた時。つまり理想像を描いてた時には「彗星」は見えていました。しかし、君とお別れをした僕は見えなくなってしまいます。つまり「彗星」とは「理想像を描いていた時の自分を表すシンボル」だったのです。
"お別れした事は 出会った事と繋がっている"
"あの透明な彗星は 透明だから無くならない"
「僕」はお別れをしても、「前向きに進む決意をした僕」と出会っています。そして、理想を描いてた自分が歩んでた軌跡の延長上では「僕」が前向きに人生を歩んでます。
以前見えてた「鮮やかな彗星」は今は見えないけれど、それが「透明な彗星」へと変わり、「諦める決意をして前向きに進んでいこうと決めた自分のシンボル」として「僕」の中に残っています。透明だから見えないし無くならないけれど、「無いけど有る」。そんなイメージです。
ザ・ポジティブシンキングな歌詞
"晴天とはほど遠い 終わらない暗闇にも"
"星を思い浮かべたなら すぐ銀河の中だ"
立ち直れないくらいに気分が真っ暗な状態でも、星をひとつ思い浮かべたら星がたくさん増えだして銀河になる。別の言い方で表すと、ひとつ前向きに考えてみたら全ての悩みをポジティブな方向に持っていくことができるよということですかね。
この歌詞については下記のサイトさんにて、とても面白い内容の記事を書いてくださっているので是非ご覧になってみてください。
わからない部分について
"しょっちゅう唄を歌ったよ その時だけのメロディーを"
「その時」とはいつでしょうか?「理想を描いてた時」でしょうか?その時に聴いてたメロディーを聴きながら、嫌なことは忘れようと現実逃避をしていたのでしょうか?
"寂しくなんかなかったよ ちゃんと寂しくなれたから"
過去、寂しくなかったことの裏返しでしょうか? それとも寂しいからこそ前向きに生きていけるので、そう言った意味で寂しくないのでしょうか?
"時々熱が出るよ 時間がある時眠るよ"
「夢だと解るその中で〜」の夢ということを強調するために、「日常的に起こること」をあえて登場させたのでしょうか?
"伝えたかった事が きっとあったんだろうな"
"恐らくありきたりなんだろうけど こんなにも"
誰が誰に何を伝えたいのか見当もつかない歌詞です。難しい。
"◯×△どれかなんて 皆と比べてどうかなんて"
"確かめる間も無い程 生きるのは最高だ"
「僕」が前向きに生きていくことができているのはわかりますが、「生きるのは最高だ」と思う理由がわかりません。「晴天とは〜銀河の中だ」からくるポジティブ思考で何もかもが前向きに捉えることができたが故の「生きるのは最高だ」なのでしょうか?
おわりに
初めて聴いた時、歌詞もあまり深読みせずに、「楽しい方がずっといいよ」や「生きるのは最高だ」なんて言っちゃってものすごくポップな曲だなぁといった感想をもっていましたが、いざ歌詞をじっくり見てみると、「悲しいこともちゃんと受け止めて前向きに生きていく歌詞」といった、これまでの曲と同じようなこと(良い意味で変わっていませんね)を歌ってるなぁと、安心しましたね。表現方法などは変わりつつも、歌うテーマは変わっていない、そんなBUMP OF CHICKENですが、今月の1日に「リボン」をリリースしましたね。
これまでの曲を彷彿とさせるリリックが散りばめられ、BUMP OF CHICKENファンとしては「おっ!」と思えるような曲だったのではないでしょうか?
僕もリリースされてから何度も聴きましたし、とくに転調するところがとても好きです。
さらに公式のTwitterやInstagramも開設されました。
さらにさらに、ツアーも始まるので、とても楽しみです!
「流れ星の正体」もリリースされておりませんし、アルバムリリースの予定もきになるので、今後のBUMP OF CHICKENの動きが気になってしょうがないです。
楽しみです。